C-BTEパラダイムの核心とも言える「教会主体」での次世代牧師養成は本当に可能なのだろうか、と疑問視する牧師たちもすくなくありません。とりわけ一教会、一牧師の現実を考えると踏み出せない気持ちはよく分かります。仮に取り組めたとしても、各教会が「この者は牧師だ」と認証する確かさを担保するものは何か、と問われます。むしろ、牧師である基準が曖昧なまま広がっていかないか、との問題提起です。
聖書の示す原則: 啓示の書である聖書はクリスチャンの成熟に至る道筋だけでなく、指導者育成においても完璧な原則を与えています。「パウロとテモテの手法」がそれです。それゆえ聖書時代の次世代指導者として信任される成熟に対する評価基準は使徒たちによる初期、中期、後期の各書簡から読み取ることができます。『基本原則を教える』指導者の手引き書の後尾に付録として記載されています(別紙参照)。これら規準は1~2年の集中の講義によって完成するものではありません。すなわち、キリストによる福音理解の確かさ、そして福音に基づく「良いわざ」としての生き方、宣教の使命を実現する生き方の確立、すなわち人格の成熟度、隣人関係、額に汗する働き、さらに家族の建て上げ、地域に貢献する仕事、そして次世代クリスチャン建て上げに関わることなどが上げられます。牧師は個々の聖徒たちを福音に基づく生き方へと建て上げる責務が与えられています。この点が基本中の基本で、納得できない牧師はだれもいないはずです。ただこれらは説教だけでは果たし得ない大切は役割でもありますので、牧師によっては再考すべきことがあるかも知れません。
特に指導者としての賜物はクリスチャンとしての成長の段階過程で、つまり実践的な取り組み「委任」によってその賜物が実証されていきます。小グループ、また家族のリーダーとして、さらにリーダーを建て上げるリーダーとして委任され実践的に経験を積み重ねていきます。そして地区教会の牧会者、さらには牧師を建て上げる指導者として教会に託された宣教使命を実現してきます。文字通り「教会主体の神学教育・指導者育成」のパラダイムです。
ポートフォリオ(portfolio): その上で「C-BTE」取り組みの特色である「教会主体」、「学習者主体」の学びと訓練を可能にする、確かなものとして用いている客観的評価の手法が「ポートフォリオ」なのです。「フォリオ」は「集めたもの」、学びや訓練の過程において学習者の成果、および他者の評価を集積したもの、「ポート」は基本的に「紹介する」つまり、決められた期間内での達成(評価の集積)を公に示すものです。すでに一般的な教育の世界でも用いられるようになっている「ポートフォリオ」はC-BTEにおける教育・訓練における客観的評価として優れた手法です。
「ポートフォリオ」による評価は学習者自身の実績を記録し、自己評価技能を高め、その人の得た知識や技能を目に見える形にする実行可能な方法です。また学習者自身も学習課題に対する応分の評価責任を持ち、学習者の実績を記録し、その人の得た知識や技能、実績を目に見える形にする実行可能な評価方法と言えます。今までのように当該学習課題の取り組みがすべて終わった後にではなく、学習の期間中、初めからずっとデーターが集積され、評価がなされる仕組みです。
C-BTE「アンテオケスクールプログラム」においては次世代の指導者としての資質、能力の客観的評価は学習者自身の「ポートフォリオ」作成に基づきます。聖書の核心的理解、人格的成熟度、生き方(含:仕事)の確立、宣教や牧会に関わる実際的な経験、また宣教戦略の作成、知的、実際的学習履歴の証明等々、牧師としての指導の賜物を証明するものに焦点を当て作成します。
生涯教育の実現: 学習者自身の学びの過程を知るだけでなく、学習者に関わっている他の人たちも学んだことに、さらにどのように積み上げていったらよいかという発展的な視野を持つことができます。さらに内省という点から見た「ポートフォリオ」は単に個別の変化やそれが持つ意味を検証するといったことに留まらず、生涯にわたる学習者の人間性や専門性の深まりを示すものとなります。その意味で「ポートフォリオ」は特別な教育プログラムという枠を超えて広がる可能性があります。
奥義としての教会: 「信仰による神の救いのご計画の実現」としの教会理解、奥義である教会での関わりでクリスチャン人生設計を描き、自らの家庭の建て上げ、教会内外に通じる、貢献できる「生き方」を確立します。それ自体が主の宣教大命令を実現すると共に、所属する神の家族教会の建て上げに直結し、その延長線上に次世代の指導者としての賜物を確立します。教会主体の指導者育成は「信仰による神の救いのご計画に実現」である奥義としての教会、いのちの交わりとしての神の家族教会を建て上げる、この交わりの中でこそ神の意図する人格を建て上げる最良の場であると言うことです。
そうした教会主体を可能にする基本的なリソース、核心的な学びとして「基本原則シリーズ」や「リーダーシップシリーズ」、また「共同体における生き方の管理:人生開発プログラム」、さらに「パラダイム論文」等が出版されています。神学校はそうした教会の主体的取り組みを必要に応じてサポートします。その一環としてC-BTEカフェにおけるワークショップ、またC-BTEセミナー等があります。
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