2020年8月21日金曜日

解説:基本理解21: 「個人の成熟‐教育・ライフワーク」

 基本理解21: 「個人の成熟‐教育・ライフワーク」

地域に福音の影響力を広めていくための教会建て上げ戦略にとって主要なのは、一人一人がキリストにあって成熟し、明確な自分自身のライフワークを展開し、生涯をかけて知恵に基づく生き方を深めていけるよう助けていくことである。 

解説:C-BTE(教会主体の神学教育)とは、伝道・牧会、学問的な学び、人格の成長・発展におけるバランスの取れた学びです。と同時に牧師のような専門職に限らず、すべてのクリスチャンが取り組む「奥義としての教会」教育です。そのC-BTEの取り組む教育とは「ハビタス(ラテン語:習慣)」としての神学の本質を取り戻すことにあります。

人生を建て上げていくクリスチャン生涯教育は知恵に基づく生き方に特化しています。成人教育の目的は教会の在り方に関係し、教会の大人たち、またその家族の一人一人、教会家族が建て上げられます。建て上げの必然として地域共同体に貢献し得る福音に基づく「良いわざ」の一つ、世の中で生産的な生き方(額に汗する)を実現します。 

箴言4:1~7:知恵を得よ。悟りを得よ。忘れてはならない。私の口の授けたことばからそれてはならない。知恵を捨てるな。それがあなたを守る。これを愛せ。これがあなたを保つ。知恵の初めに、知恵を得よ。あなたのすべての財産をかけて、悟りを得よ。 

「習慣は第二の天性」とはこの日本で言われています。「ハビタス」とは人種、職業、性別等に関係なくすべての人間が一生涯に渡って身につけなければない魂の方向性と言われます。旧約聖書が書かれているヘブル語の知恵(hokmah:ホクマ)は「ハビタス」の実際的な定義を見事に説明しています。Hokumahは文字通りには「生きるうえでの技能」という意味で、精神的技能(聖書的に考える能力)と生活技能、つまり正しく人生の選択をする能力の双方の発展を意味するものです。

しかし、「日々聖書から神についてより深く学ぶこと、すなわち、いかに魂を正しく導くかという知恵を得るはずの神学が(聖書、聖書原語、重要な文献の学び等を通して)、またどのような状況にある人間にとっても必要なものであるにもかかわらず、牧師などの専門職の備えのための学問的な学びに置き換えられてしまっている」(Edward Farley)。

実際の手法:「ハビタスとは習慣とすることや実践することで得られる完成した、あるいはブレない状態、ないし状況を言う」。つまり、「神のかたち」である人間が理性と思考の追求を通して手に入れた性質、ないし気質を意味するものです。

神学的視点:神の知識と知恵を追求することで手に入れた「習慣」がその人の内性、気質、振る舞いとなることです。

聖書の中には明確に、信者一人一人が神のことばを真剣に学ぶ者であり、人生のすべての場面で聖書的に考えることを学ばなければならないという命令が与えられています。しかし、現代の西洋文明の中で私たちは魂の方向性の原則を、学問的知識を得る目的と捉え、専門的な働きをする知的学問の追究へと傾いていきました。 

ハビタスのプロセス、段階は現にそこに存在するいのちの交わりとしての共同体、地区教会における生活の中で、神学教育の聖書的原則をもう一度確立する手法を提供しています。

第一段階:聖書の「基本原則」の理解、聖書的に考える能力を発展させる段階、

第二段階:聖書の「基本原則」に基づき、生涯にわたる知恵の追求の土台をさらに発展させる。

第三段階:その土台に基づいて、生涯に渡る聖書理解を追い求める。 

すべてのクリスチャンにとってどのような働きをしているかに関係なく、自分のライフワークをさらに熟達したものとするために、訓練が必要です。成人教育の目的は教会の在り方に関係してきます。教会の大人たちが、またその家族の一人一人が、神の家族である教会が建て上げられ、世の中で生産的な生き方、創造された人間の本質である「額に汗する」働きをし、福音に基づく「良いわざ」(地域共同体に貢献)を実現します 。

 真の教育とは生涯のものであり、「知恵文学」は生涯に渡って知恵を求め続けるようにと勧めています。成人のための教育は、生涯知恵を求め続けること、かつ生涯教育(連続性)、理想は幼子からの連続性の中での教育です。その教育は単に教育に終わらない。考える力・思考力を向上させ、持って生まれた能力(興味関心)に気づき、普遍的な価値・規範を刻みつつ、発展させるものです。

 実際的な手法として「信仰による神の救いのご計画」全般の理解を前提に「人生開発ポートフォリオ」が提案されています。特にこの時代、学び続ける必要の時代です。その人にあった人生戦略を発展させていかなければならなりません。そのために提示されているのが「人生開発ポートフォリオ」の必要性です。仕事や生活の中で新しい知識を使いこなすことがどうしても必要になってきます。これが「知恵」と呼ばれるもの、文字通り「生きる術」です。

 なお、この日本ではクリスチャン生活の始まりがどの年代からか、人によって異なります。C-BTEパラダイムの大切な視点は子供の時代から老年期まで一貫した教育を想定しています。それゆえ今の自分から始め、そして「家族の建て上げ」に取り組み、ライフワークに対する各人の将来像を描き実践し、完成させます。

 

〈人生開発ポートフォリオシステム〉

 子供時代と青年期 - 良い職業倫理観を持ち、忠実な管理者となるよう育む。

 成人期初期 - この時期には聖書の核となる教えに十分確立された者となり、しっかりとした家庭を築き、健全なライフワークの基礎を据えることが必要です。経済的土台を据える。熱心に働き、経験を得、知識とライフワークに関する基本的な知識に焦点を合わせます。

成人期中期 - 知識とライフワークに習熟することに焦点を合わせ、仕事を成功させ、経済的基盤を深める。この時期には子どもを大人として扱うようにし、教会では熟練した働き人として仕え、ライフワークを具体的に始めていくことが必要です。

成人期後期 - 知恵とライフワークを会得することに焦点を合わせ、他の人を指導助言します。その延長線上で他の人に権威を委譲し、ライフワークの高みを目指し、ライフワークを引き継ぐ人を探します。この時期はこれまでの人生で培ったものを後世に残すことを考え、信仰共同体の人的資源となり、ライフワークを完結することが必要です 。

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