「基本理解11: 評価と認証」
初代教会共同体の中で行われていた牧会と実務を行う上で人格的にも働きの面でも適格性を持ち、なおかつ今の文化の流れに即した指導者を見分け、認証していく取り組みである。
解説:指導者の認証について聖書の教えは的確です。主な箇所はパウロのテモテとテトスに宛てられた牧会書簡です。Ⅰテモテ3章1節『「人がもし監督の職につきたいと思うなら、それはすばらしい仕事を求めることである」ということばは真実です。ですから、監督はこういう人でなければなりません。』テトスでは「監督の職」を「長老」と言い換えています。
テモテへの手紙第一、3章15項目、テトスへの手紙1章15項目、それらの項目を整理してみますと以下の三領域に集約されます。
Ⅰ、福音・信仰理解の成熟度(信仰の人):聖書の価値観、つまり永遠に価値あるものを理解し、それによって生きる。信仰によるものの考え方をしっかり身につけている。
① 自分を制し:信仰の人、希望の人、愛の人、つまり永遠に価値あるものを見定める能力を持ち合わせており、信仰と希望と愛を育てる
② 慎み深い:慎重で穏健な判断ができる
③ 金銭に無欲で:富の否定ではなく、永遠に価値あるもののために富を用いる
④ 善を愛する
⑤ 正しく
⑥ 敬虔である
⑦ 信者になったばかりの人であってはならない:成熟への道における時間的要素
Ⅱ、福音理解に基づく対人関係の成熟度:罪の本質、自己中心性を認識し、その罪の本質を克服する。普遍的価値観に基づく人間本能の抑制心、特に怒りの感情の抑制心こそ福音に生きる道である。
① 酒飲みでなく
② わがままでなく
③ 短気でなく
④ けんか好きでなく
⑤ 暴力をふるわず
⑥ 争わず
⑦ 温和で
⑧ 教える能力がある:教育技能以上に人格的要素の重視(Ⅱテモテ2:24~25)
Ⅲ、社会性の成熟度:未信者にも通用する礼儀正しさを持っている。
① 一人の妻の夫である
② 自分の家庭を良く治める
③ 品位ある:神の教えを飾る
④ よくもてなす:人と関わり、隣人愛
⑤ 教会外に人にも評判がよい
注目すべきは教会の構成要素としての夫婦、家族の関係を重視していることです。そして聖書の価値観、つまり永遠に価値あるものを理解し、それによって生きる。信仰による「ものの考え方」をしっかり身につけていることです。さらに注目すべきはⅠテモテ 4:12「年が若いからといって、だれにも軽く見られないようにしなさい。かえって、ことばにも、態度にも、愛にも、信仰にも、純潔にも信者の模範になりなさい。」との勧めです。すなわち「信者の模範である監督職(教会の指導者)の条件」は
信仰者としての成熟した人であり、かつ成熟度の条件は信者、未信者両者の中で「評判の良い人」であることです。そして牧師は「信者の模範」であるということから、ここに上げられている条件はひとり監督のみならず、すべてのクリスチャンの目指す目標であり、成熟したキリスト者の特性と言えます。すなわち「神の家族」である教会共同体」を成り立たせる核心部分と言えます。
キリストの福音に基づく「良い行い」、あらゆる「良いわざ」が初代教会における宣教の拡大要因として見過ごせない重要な取り組みでした。つまり、福音による新しさに生きるキリスト者は「使徒たちの教え」、「健全な教え」によって、キリスト者としての生き方を確立していきました。個々のクリスチャンはもとより、クリスチャン家族、またその家族を建て上げる神の家族教会共同体が一体となって地域社会に存在感を示していきました。この一事のために使徒たち、教会の指導者たちは揺るがないリーダーシップを発揮しました。また、救われたクリスチャンたちが何をして宣教の拡がりを実現していったのかが見えてきます。つまり、福音に基づく「良いわざ」の実証によって、福音の確かさを証しする教会共同体の存在によって広まっていったということです。どのような時代、いかなる文化の中でも通じる聖書の原則、福音に基づく「良いわざ」、町、地域、国、ひいては地球村の繁栄に寄与・貢献する「良いわざ」です。しかも地域社会の一員としての市民意識をもって寄与・貢献していたのです。そのクリスチャンたちを注視する人々の問いかけに、的確にキリストの福音が語られました。そのようにして教会共同体は拡がっていったのです。
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