2020年6月26日金曜日

解説:基本理解12:「アンテオケ教会の伝統:教会専属神学者、教会主体の神学会議」


基本理解12:「アンテオケ教会の伝統:教会専属神学者、教会主体の神学会議」

初代教会のようなアンテオケ教会、教会専属神学者、教会会議に戻す。歴史上またとないこの時をしっかり捉え、近代西洋のパラダイムである専門職としての牧師、神学者、宣教師、神学教育機関から「脱構築」し、聖書の意図に基づいて再構築する。

 

解説:この基本理解は文字通り「パラダイム転換」の実際的な取り組みと言えます。教会の指導者、教職者と言われる牧師、宣教師等は一般的にそれぞれの神学校で研修し、教会に就任したり、宣教師への召しがあれば特定の宣教団に所属して宣教地に派遣されます。この研修のあり方を先に取り上げた初代教会の中核的存在であった「アンテオケ教会」の伝統に基づいて再構築することです。

なぜ、そうしなければならないのか、現在の神学校における神学教育の大半は近代西洋のパラダイムに基づくものです。その中核要素となっているのは以下の四部門構成です。

Ⅰ、聖書学 :聖書概観、聖書入門等々、

Ⅱ、神 学 :組織神学、すなわち神論、キリスト論、救済論、終末論等々、

Ⅲ、歴史神学:教会史、キリスト教思想史等々、

Ⅳ、実践神学:宣教論、クリスチャン教育、カウンセリング、説教等々、

この四部門構成はシュライエルマッハー(17681834)の四層の「神学的学術大系」を土台としています。その特性は神学の勉強を学問のカテゴリー(範疇)、分類、認識等の根本的な枠組みにおいて構成されていることです。したがって組織神学は純粋な思考(論理)によって真理の認識に到達しようとする学問だけに思弁的に陥りやすい。真の神学者はその特性を認識し、いのちの交わりである教会生活、日々の祈りのうちに日常的に聖書に親しむことを前提に組織神学の学びをするよう注意喚起しています。

欧米の伝統的な神学校、聖書大学、またTEEのプログラム等はこの「神学的学術大系」を基本としています。またTEE1970年代にラテン・アメリカで生まれたもので神学校のカリキュラムに沿って指導者を育てる、教会の一室を教室として行う神学校の延長プログラムと言えます。

このようなアカデミック、学究的な教育の反動として起こったのがいわゆる「弟子訓練」プログラム、スモールグループ活動等があります。その中核的要素は「個人々のクリスチャン生活」、「個人の訓練」すわち聖書研究や祈り、ティボーション等の指導があり、さらに証し、個人伝道等のプログラムがあります。弟子訓練の資料はきわめて個人中心であり、パラチャーチ組織で作られたものが大部分です。多くの場合、地域教会での神の家族共同体生活に関する注意深い理解を欠いている場合が多いと言われています。

C-BTEは近代西洋のパラダイムに基づく神学教育の核心的な問題意識を持っていのちの交わりとしての教会主導の教育と訓練への転換であり、全く新しいシステム「キリストとその弟子たちの手法」によるものです。「牧師は何を学ぶべきか」、そして「牧師はそれをどんな順序で学ぶべきか」について聖書の意図を注意深く確認しています。

 奥義としての教会について開示されたパウロがテモテを訓練した方法、新約聖書の教会における手法に注目したい。特に牧会書簡で明らかにされている型を注意深く学ぶことです。テモテへの手紙第二は聖書神学の実例です。とりわけ「委ねられたものを渡す」に注目すると、そこに意図されている二つの中核概念が確認できます。

1)パウロがテモテを訓練した実例は永続的な型である (Ⅱテモテ22節:多くの証人の前で私から聞いたことを、他の人にも教える力のある忠実な人たちにゆだねなさい)

2)パウロがテモテへの訓練を振り返っている内容は現代のモデルを作るうえで枠組みとなる (Ⅱテモテへの手紙)

 

パウロがテモテを訓練した内容:「託されたものを委ねる」

Ⅰ、〈テモテがすべき事柄〉

1) いのちの共同体神の家族「教会」の中で神にふさわしい生きた方、人格を確立する。

①Ⅰテモテ 4:16:自分自身にも、教える事にも、よく気をつけなさい。あくまでそれを続けなさい。そうすれば、自分自身をも、またあなたの教えを聞く人たちをも救うことになります。

②Ⅰテモテ 4:12:年が若いからといって、だれにも軽く見られないようにしなさい。かえって、ことばにも、態度にも、愛にも、信仰にも、純潔にも信者の模範になりなさい

③Ⅱテモテ 1:6:それですから、私はあなたに注意したいのです。私の按手をもってあなたのうちに与えられた神の賜物を、再び燃え立たせてください。

④Ⅰテモテ 4:7,8:俗悪で愚にもつかぬ空想話を避けなさい。むしろ、敬虔のために自分を鍛練しなさい。肉体の鍛練もいくらかは有益ですが、今のいのちと未来のいのちが約束されている敬虔は、すべてに有益です。 

2) 主の宣教大命令に応え、いのちの共同体においてミニストリー(牧会、伝道)を実践しながら、ミニストリーの技術を学ぶ。

①Ⅱテモテ 4:5:しかし、あなたは、どのような場合にも慎み、困難に耐え、伝道者として働き、自分の務めを十分に果たしなさい

②Ⅱテモテ 4:2みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。寛容を尽くし、絶えず教えながら、責め、戒め、また勧めなさい。

③Ⅱテモテ 4:2:みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。寛容を尽くし、絶えず教えながら、責め、戒め、また勧めなさい。

④Ⅰテモテ 6:2:信者である主人を持つ人は、主人が兄弟だからといって軽く見ず、むしろ、ますますよく仕えなさい。なぜなら、その良い奉仕から益を受けるのは信者であり、愛されている人だからです。あなたは、これらのことを教え、また勧めなさい。

⑤テトス 1:5:私があなたをクレテに残したのは、あなたが残っている仕事の整理をし、また、私が指図したように、町ごとに長老たちを任命するためでした。 

3) 「健全な教え」を委ねられるように取り組み、学問的にも確かな教えを継承する。

①Ⅰテモテ 4:1:しかし、御霊が明らかに言われるように、後の時代になると、ある人たちは惑わす霊と悪霊の教えとに心を奪われ、信仰から離れるようになります。

②Ⅱテモテ 1:13:あなたは、キリスト・イエスにある信仰と愛をもって、私から聞いた健全なことばを手本にしなさい

③Ⅱテモテ 2:152:15 あなたは熟練した者、すなわち、真理のみことばをまっすぐに説き明かす、恥じることのない働き人として、自分を神にささげるよう、努め励みなさい。

 

Ⅱ、〈訓練の状況〉

①Ⅱテモテ 3:10-11: しかし、あなたは、私の教え、行動、計画、信仰、寛容、愛、忍耐に、またアンテオケ、イコニオム、ルステラで私にふりかかった迫害や苦難にも、よくついて来てくれました。何というひどい迫害に私は耐えて来たことでしょう。しかし、主はいっさいのことから私を救い出してくださいました。

②Ⅱテモテ 2:2多くの証人の前で私から聞いたことを、他の人にも教える力のある忠実な人たちにゆだねなさい。

③Ⅱテモテ 1:14:そして、あなたにゆだねられた良いものを、私たちのうちに宿る聖霊によって、守りなさい

④Ⅱテモテ 2:2多くの証人の前で私から聞いたことを、他の人にも教える力のある忠実な人たちにゆだねなさい

⑤Ⅱテモテ 4:54:5 しかし、あなたは、どのようなばあいにも慎み、困難に耐え、伝道者として働き、自分の務めを十分に果たしなさい

⑥使徒の働き16:2ルステラとイコニオムとの兄弟たちの間で評判の良い人であった

 

C-BTEカリキュラム構成:文化との関わりで「神学する」ことを目指す

Ⅰ、釈義の技術

「神のことば」を解釈する:教えること、説教すること

Ⅱ、聖書神学

1. 神学技能::それぞれの文化の中で「神学する」ことを目指して

2. 人生とミニストリーに備える

Ⅲ、文化の中で「神学する」

1. コースの策定

2. 教会の直面する諸課題を解決する

3. ミニストリー(宣教・牧会戦略)を作る 

このような視点からC-BTEのリソース:基本原則シリーズ、リーダーシップシリーズ等の諸テキストが作成されています。基本原則シリーズからリーダーシップシリーズへと、それぞれ順序立てて学び、訓練されることで「信仰による神の救いのご計画」を実現していくように構成されています。挑戦し、実証してみて下さい。 

基本原則シリーズ、リーダーシップシリーズの基本的教育プロセス

1.  聖書を学ぶ (聖書箇所):研究主題に関する聖書箇所。文脈に沿って注意深く調べる。

2.  文献に当たる (神学書講読):論点を考える助けになる関係書籍、書物、記事、論文等を読み共に考える。

3.  論点を通して考える「対話・問答」 (ソクラテス問答):十分に共に議論する必要がある重要な論点が取り上げられている。

4.  聖書の原理・原則を適用する (個人の研究課題):実践的に研究課題を行うことで、成長が促される。更なる学びの土台が据えられる。 

基本原則シリーズ、リーダーシップシリーズの目標は生涯学習を通して知恵を深める土台を築き、この知恵によって、現代の多様な文化の問題、課題を取り扱うことができるようにすることです。

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