2020年7月11日土曜日

解説:基本理解14:「自然発生的広がり」


基本理解14: 「自然発生的広がり」

ローマ帝国全体に自然発生的に広がった教会は人間の緻密な計画によらず、聖霊の間接的、時には直接的な指示の下、宣教の門戸を開けようと応答した使徒的指導者たちの戦略的意図によったものである。

 

解説:冒頭の「ローマ帝国全体に自然発生的に広がった教会」とは言うまでもなく使徒後に直結する初代教会の拡がり、パウロに開示された奥義としての教会、イエスと使徒達の手法に基づく神の家族共同体の展開です。つまり「もうひとりの助け主」聖霊を通して主イエス・キリストが啓示された「主イエスと使徒達」とりわけ「パウロの手法」を踏襲した初代教会に注目してください。ローマ帝国は基本的に多神教の社会です。その中で公認か非公認の区別がなされ、キリスト教は非公認宗教でした。その教会が後に、必ずしも勝利と言えるものではありませんが、ローマ帝国の絶対的主権者である皇帝の意志によって公認宗教、さらには国教化にまで引き寄せられる存在感のある共同体になっていた、ということです。

「自然発生的に広がった教会」の存在に関わったパウロの手法、パウロのサイクルとして確認できるのが、まず「拠点都市伝道」、その結果としての「地区教会を建て上げ」、そして「忠実な人への委任」、「神の救いのご計画」における教会建て上げです。さらに「自然発生的に広がった教会」、その大前提は「あなたがたのうちにある希望について説明を求める人には、だれにでもいつでも弁明できる用意をしていなさい(Ⅰペテロ315)。」とあるように初代教会は周りの人々からの問いかけが発せられるほど、福音に基づく「良いわざ」その生き方を確立していたということです。聖書の価値観、倫理観、そして隣人愛、とりわけ助けを必要としている方々への心遣い、隣人愛は福音の確かさを証するものであったのです。「こういうわけで、いつまでも残る信仰と希望と愛です。その中で一番すぐれているものは愛です」(Ⅰコリント1313)。そこに見られる自然発生的・自然な広がりはきわめて魅力的な「生き方」を実現した教会共同体がありました。主人と奴隷の関係における兄弟愛、夫婦愛、堅実に成長する子供たち、家族の建て上げを核とした影響力ある宣教が拡がっていきました。そうした教会での次世代育成と委任、訓練と牧会活動の中心の場としてのいのちの交わりとしての教会の建て上げがあったのです。つまり、宣教・牧会活動と学問的追求、そしていのちの交わりにおいてこそ人格成長との統合が可能となるのです。

どの教派、教会も自分たちの現在の取り組みが聖書的と考え実践していると思います。しかし、改めて新約聖書の時代、初代教会に戻って調べ、再考してみると、本当はそうではなかった現実に気付かされるものがあります。「C-BTE:教会主体の神学教育・指導者育成」においては「パラダイム転換」が強調されます。冷静に現在の教会の集まりを観察し、同時に聖書の意図に注目しつつ再考することが大事です。何よりも主の宣教大命令に応える指導者たちのリーダーシップがあります。また教会のネットワークの確かさがありました。今日においては各教派間の壁があります。しかし、聖書の意図に確かな視点を置くC-BTEパラダイムへの転換を意志することで、この壁を超えることができます。

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