C-BTEの五つの基本概念、
1.「C-BTE」:「教会主体の神学教育」(承前)
2.「委任」という考え方(承前)
3.「建て上げ」という考え方
なぜ、C-BTEが重要であるか、その理由を解き明かす上で、とても重要な基本概念である「委任」について紹介しましました。さらに「建て上げ」という考え方に注目してみたいと思います。
「建て上げ」のギリシャ語(ステリゾウ:στηρίζω)の意味は「しっかり据え置き、強化し、確立し、援助し、また安定させる」等の意味合いで用いられています。それはパウロの宣教活動の中で繰り返し用いられている鍵となる言葉です。
使徒14章1~23節: パウロの宣教に対する激しい迫害の中で弟子となった人たちに対するパウロに取り組みについて、『彼らはその町で福音を宣べ、多くの人を弟子としてから、ルステラとイコニオムとアンテオケとに引き返して、 弟子たちの心を強め、この信仰にしっかりとどまるように勧め、「私たちが神の国に入るには、多くの苦しみを経なければならない」と言った。』(14:21-22)。
15章36~16章5節:パウロの第二次伝道旅行、ヨーロッパ伝道への道が開かれたときの記事です。その結びに「こうして諸教会は、その信仰を強められ、日ごとに人数を増して行った」(16:5)とあります。
18章22~23節:再度、パウロは宣教地を訪問し、クリスチャンたちを励まし、信仰を確かなものにするために取り組みました。「それからカイザリヤに上陸してエルサレムに上り、教会にあいさつしてからアンテオケに下って行った。そこにしばらくいてから、彼はまた出発し、ガラテヤの地方およびフルギヤを次々に巡って、すべての弟子たちを力づけた」(18:22-23)。
ローマ1章8-15節:パウロのローマにある主の教会への訪問を切望し「私があなたがたに会いたいと切に望むのは、御霊の賜物をいくらかでもあなたがたに分けて、あなたがたを強くしたいからです」(1:11)と記しています。
16章25-27節:「 私の福音とイエス・キリストの宣教によって、すなわち、世々にわたって長い間隠されていたが、今や現されて、永遠の神の命令に従い、預言者たちの書によって、信仰の従順に導くためにあらゆる国の人々に知らされた奥義の啓示によって、あなたがたを堅く立たせることができる方、知恵に富む唯一の神に、イエス・キリストによって、御栄えがとこしえまでありますように。アーメン」(16:25-27)。
パウロがキリストの福音を信じ、救われたクリスチャンたちをしっかりと信仰に堅くし、強化し、揺るぎないもにしようと取り組むのは他ならなぬ主イエス様の思い、父なる神の意図であることを、祈りに表現しています。
Ⅰテサロニケ3章1-13節、特に2節:「私たちの兄弟であり、キリストの福音において神の同労者であるテモテを遣わしたのです。それは、あなたがたの信仰についてあなたがたを強め励まし、このような苦難の中にあっても、動揺する者がひとりもないようにするためでした」(3:2-3)。パウロの次世代同労者テモテに委任して、テサロニケのクリスチャンたちを励ましています。
Ⅱテサロニケ2章17節:「どうか、私たちの主イエス・キリストと、私たちの父なる神、すなわち、私たちを愛し、恵みによって永遠の慰めとすばらしい望みとを与えてくださった方ご自身が、あらゆる良いわざとことばとに進むよう、あなたがたの心を慰め、強めてくださいますように」(2:16-17)。信仰の確かさは福音に基づく「良いわざ」、生き方が伴ってこそであることが読み取れます。
特に「使徒の働き」の著者ルカは主の宣教大命令がどのように展開していったかに焦点を当て、主要な出来事に選び記述しています。単に原始キリスト教会の出来事の記録以上の意図があることに注目したいと思います。その文脈で「建て上げ」の意味合いを理解していただければと思います。
興味深いことに、先に使徒として主から召されていたペテロ、主にある同労者であるパウロを引き合いに出して励ましています。ペテロが建て上げについて言及するパウロ書簡にふれ、信仰の励ましをしていることに注目してください。
Ⅱペテロ3:14-17: 「そういうわけで、愛する人たち。このようなことを待ち望んでいるあなたがたですから、しみも傷もない者として、平安をもって御前に出られるように、励みなさい。また、私たちの主の忍耐は救いであると考えなさい。それは、私たちの愛する兄弟パウロも、その与えられた知恵に従って、あなたがたに書き送ったとおりです。
その中で、ほかのすべての手紙でもそうなのですが、このことについて語っています。その手紙の中には理解しにくいところもあります。無知な、心の定まらない人たちは、聖書の他の個所の場合もそうするのですが、それらの手紙を曲解し、自分自身に滅びを招いています。愛する人たち。そういうわけですから、このことをあらかじめ知っておいて、よく気をつけ、無節操な者たちの迷いに誘い込まれて自分自身の堅実さを失うことにならないようにしなさい。」
〈パウロの教会建て上げ過程〉
段階1:福音の宣言
段階2:クリスチャンたちを共同体に集め、その信仰を強化し、群れの監督として長老たちを任命した。
段階3:パウロの働きの継続:手紙を書いたり、訪問したり、教会を建て上げるという パウロの働きを助ける忠実な人たちを訓練することによって。
段階4:パウロは、それらの教会が新しい地に福音をもたらす拠点として用い、パウロ と共に福音のさらなる前進のために参加するよう励ました。
段階5:パウロは、自らが教会を十分建て上げるための助力となるよう、また、次世代にこの働きを継続するために訓練できる忠実な働き人を見出せるよう訓練していた鍵となる働き人に委ねた。
以上の5つの建て上げの過程は、パウロの宣教の優先順位の型を示す上で非常に重要です。パウロは誰よりも主の宣教命令に非常に積極的であったことは間違いありません。しかし、パウロは福音宣教のために開かれた門を目の前にしても、既存の地区教会の建て上げに無関心のまま、新たな地への福音拡大を優先するようなことはなかったということです。
参照:Ⅱコリント2章12-14節: 「私が、キリストの福音のためにトロアスに行ったとき、主は私のために門を開いてくださいましたが、兄弟テトスに会えなかったので(コリントに遣わしていた)、心に安らぎがなく、そこの人々に別れを告げて、マケドニヤへ向かいました。しかし、神に感謝します。神はいつでも、私たちを導いてキリストによる勝利の行列に加え、至る所で私たちを通して、キリストを知る知識のかおりを放ってくださいます。」
1.「C-BTE」:「教会主体の神学教育」(承前)
2.「委任」という考え方(承前)
3.「建て上げ」という考え方
なぜ、C-BTEが重要であるか、その理由を解き明かす上で、とても重要な基本概念である「委任」について紹介しましました。さらに「建て上げ」という考え方に注目してみたいと思います。
「建て上げ」のギリシャ語(ステリゾウ:στηρίζω)の意味は「しっかり据え置き、強化し、確立し、援助し、また安定させる」等の意味合いで用いられています。それはパウロの宣教活動の中で繰り返し用いられている鍵となる言葉です。
使徒14章1~23節: パウロの宣教に対する激しい迫害の中で弟子となった人たちに対するパウロに取り組みについて、『彼らはその町で福音を宣べ、多くの人を弟子としてから、ルステラとイコニオムとアンテオケとに引き返して、 弟子たちの心を強め、この信仰にしっかりとどまるように勧め、「私たちが神の国に入るには、多くの苦しみを経なければならない」と言った。』(14:21-22)。
15章36~16章5節:パウロの第二次伝道旅行、ヨーロッパ伝道への道が開かれたときの記事です。その結びに「こうして諸教会は、その信仰を強められ、日ごとに人数を増して行った」(16:5)とあります。
18章22~23節:再度、パウロは宣教地を訪問し、クリスチャンたちを励まし、信仰を確かなものにするために取り組みました。「それからカイザリヤに上陸してエルサレムに上り、教会にあいさつしてからアンテオケに下って行った。そこにしばらくいてから、彼はまた出発し、ガラテヤの地方およびフルギヤを次々に巡って、すべての弟子たちを力づけた」(18:22-23)。
ローマ1章8-15節:パウロのローマにある主の教会への訪問を切望し「私があなたがたに会いたいと切に望むのは、御霊の賜物をいくらかでもあなたがたに分けて、あなたがたを強くしたいからです」(1:11)と記しています。
16章25-27節:「 私の福音とイエス・キリストの宣教によって、すなわち、世々にわたって長い間隠されていたが、今や現されて、永遠の神の命令に従い、預言者たちの書によって、信仰の従順に導くためにあらゆる国の人々に知らされた奥義の啓示によって、あなたがたを堅く立たせることができる方、知恵に富む唯一の神に、イエス・キリストによって、御栄えがとこしえまでありますように。アーメン」(16:25-27)。
パウロがキリストの福音を信じ、救われたクリスチャンたちをしっかりと信仰に堅くし、強化し、揺るぎないもにしようと取り組むのは他ならなぬ主イエス様の思い、父なる神の意図であることを、祈りに表現しています。
Ⅰテサロニケ3章1-13節、特に2節:「私たちの兄弟であり、キリストの福音において神の同労者であるテモテを遣わしたのです。それは、あなたがたの信仰についてあなたがたを強め励まし、このような苦難の中にあっても、動揺する者がひとりもないようにするためでした」(3:2-3)。パウロの次世代同労者テモテに委任して、テサロニケのクリスチャンたちを励ましています。
Ⅱテサロニケ2章17節:「どうか、私たちの主イエス・キリストと、私たちの父なる神、すなわち、私たちを愛し、恵みによって永遠の慰めとすばらしい望みとを与えてくださった方ご自身が、あらゆる良いわざとことばとに進むよう、あなたがたの心を慰め、強めてくださいますように」(2:16-17)。信仰の確かさは福音に基づく「良いわざ」、生き方が伴ってこそであることが読み取れます。
特に「使徒の働き」の著者ルカは主の宣教大命令がどのように展開していったかに焦点を当て、主要な出来事に選び記述しています。単に原始キリスト教会の出来事の記録以上の意図があることに注目したいと思います。その文脈で「建て上げ」の意味合いを理解していただければと思います。
興味深いことに、先に使徒として主から召されていたペテロ、主にある同労者であるパウロを引き合いに出して励ましています。ペテロが建て上げについて言及するパウロ書簡にふれ、信仰の励ましをしていることに注目してください。
Ⅱペテロ3:14-17: 「そういうわけで、愛する人たち。このようなことを待ち望んでいるあなたがたですから、しみも傷もない者として、平安をもって御前に出られるように、励みなさい。また、私たちの主の忍耐は救いであると考えなさい。それは、私たちの愛する兄弟パウロも、その与えられた知恵に従って、あなたがたに書き送ったとおりです。
その中で、ほかのすべての手紙でもそうなのですが、このことについて語っています。その手紙の中には理解しにくいところもあります。無知な、心の定まらない人たちは、聖書の他の個所の場合もそうするのですが、それらの手紙を曲解し、自分自身に滅びを招いています。愛する人たち。そういうわけですから、このことをあらかじめ知っておいて、よく気をつけ、無節操な者たちの迷いに誘い込まれて自分自身の堅実さを失うことにならないようにしなさい。」
〈パウロの教会建て上げ過程〉
段階1:福音の宣言
段階2:クリスチャンたちを共同体に集め、その信仰を強化し、群れの監督として長老たちを任命した。
段階3:パウロの働きの継続:手紙を書いたり、訪問したり、教会を建て上げるという パウロの働きを助ける忠実な人たちを訓練することによって。
段階4:パウロは、それらの教会が新しい地に福音をもたらす拠点として用い、パウロ と共に福音のさらなる前進のために参加するよう励ました。
段階5:パウロは、自らが教会を十分建て上げるための助力となるよう、また、次世代にこの働きを継続するために訓練できる忠実な働き人を見出せるよう訓練していた鍵となる働き人に委ねた。
以上の5つの建て上げの過程は、パウロの宣教の優先順位の型を示す上で非常に重要です。パウロは誰よりも主の宣教命令に非常に積極的であったことは間違いありません。しかし、パウロは福音宣教のために開かれた門を目の前にしても、既存の地区教会の建て上げに無関心のまま、新たな地への福音拡大を優先するようなことはなかったということです。
参照:Ⅱコリント2章12-14節: 「私が、キリストの福音のためにトロアスに行ったとき、主は私のために門を開いてくださいましたが、兄弟テトスに会えなかったので(コリントに遣わしていた)、心に安らぎがなく、そこの人々に別れを告げて、マケドニヤへ向かいました。しかし、神に感謝します。神はいつでも、私たちを導いてキリストによる勝利の行列に加え、至る所で私たちを通して、キリストを知る知識のかおりを放ってくださいます。」
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