2017年9月5日火曜日

基本原則とは

前回、翻訳出版されている基本原則シリーズⅠ、Ⅱの編集構成についてふれました。奥義としての神の家族である教会共同体が建て上げられていくクリスチャン人生、そして教会を構成する各家族の建て上げ、次世代、三世代へと継承される家族です。しかも、置かれた地域社会に貢献できる生き方、しかも主の宣教大命令に応えていく主体的なクリスチャン人生の建て上げです。

基本原則シリーズ: ビルドのテキストにおいにて記されている基本原則の要点は以下の通りです。宣教、告知と言われる「ケリュグマ」の内容は新しい契約と言われていたキリストによる福音、神の再創造の御業です。そしてその福音のもたらす生き方についての教え、ディダケーについて8項目上げています。①福音に基づく考え方の刷新と新しい生き方、②個々の人格、隣人関係に関わる徳、③結婚を含む各家族の建て上げ、④真理の柱、土台である神の家族、教会の建て上げ、⑤教会建て上げに関わる各クリスチャンの賜物、⑥教会共同体における人間関係、愛、兄弟愛、一致、⑦上に立つ権威の尊重、地域社会での隣人愛、⑧「額に汗して」働く、労働の大切さ、自らの必要を自ら満たす責任等々です。
 理想と現実: 現実には様々な問題に直面します。弱さもあります。しかし、信仰は個々人の問題ではなく、神の家族の一員として互いに祈り、知恵を出し合い、励まし合い、時に訓戒し合いながら信仰を持って互いに建て上げていきます。また、教会にはすでに問題を抱えて求道し、信仰に導かれる方もいます。夫婦の問題、離婚、母子あるいは父子家庭など、親子関係の問題、仕事上の問題等々様々です。家族の家族である教会が痛みを共有しながら、聖書の基本原則に基づいて人生再建、再構築のために共に取り組みます。

聖書理解の基としての基本原則: 基本原則シリーズの学びをしておられる方々から、福音書の学びがないのか、旧約聖書の学びがないのはなぜか、聖書には他にも大切なものがあるのではないか、と問われることがあります。C-BTEパラダイムは、他の聖書箇所の学びは不要、と言うわけでないことを理解されての問いと思いますが、なぜ、基本原則なのかを聖書全体の意図から理解しておく必要があります。

教会の教職者にとっては周知の事実ですが、聖書は神の啓示の書であり、最終的にキリスト・イエスご自身の御業に於いて完結しているように理解されているかもしれません。しかし、もう少し注意深く聖書を読んでみると、主イエス様は十字架の死を前にして、父なる神に対する願いによって「父はもうひとりの助け主をあなたがたにお与えになります。その方は、真理の御霊です」(ヨハネ14:16-17)と約束されました。主たる目的は主ご自身が語られたことを思い起こさせ、またその真意を悟させて下さるというのです。同時に後に使徒として召されたパウロ書簡を読んでいくと、パウロは主ご自身からの啓示、つまり、もう一人の助け主、聖霊を通して示されたことがわかります。ガラテヤ人への手紙、エペソ人への手紙にその記述があります。特にエペソ人への手紙に展開されているキリストの体である教会についての奥義は啓示によるものだとあります。

キリストの完全な贖いに基づく、神の再創造の御業は家族の建て上げ、また神の家族共同体の建て上げにおいて具体化していくことがわかります。ですから、ここで示されている基本原則、さらに福音に基づいて推論される聖書の基本原則を理解することで、ご在世当時のイエス様の教え、その意図が明確に理解できるようになるのです。ということは、主イエス様は旧約聖書に記された律法の意図を明確に語られたように、私たちも旧約聖書の意図を真に理解できるようになるということになります。

たとえば、エペソ4章21節以降を読みますと、「あなたがたが心の霊において新しくされ(キリストにある新生)、真理に基づく義と聖をもって神にかたどり造り出された、新しい人を身に着るべきことでした」とあります。ここにキリストにある新生がどのようなものであるのかについて解すると共に創世記に記されている「神は人をご自身のかたちとして創造された」とある「かたち」とはどのようなものであるのかがよくわかります。さらにコロサイ3:10「新しい人は、造り主のかたちに似せられてますます新しくされ、真の知識に至るのです」とあるみことば、神の「かたち」として人の理解がさらに補完されます。

このように、啓示の圧巻と言える奥義としての教会を通して示された聖書の基本原則を明確に理解し、かつ、知識から知恵に至るように熟考することによって、必然的に聖書全体を理解していけるようになるということです。ですから、基本原則シリーズの学びと訓練が学びのための学びに終わらない取り組みを実行することがとても大切です。

日本版「聖書の基本原則シリーズ」: それでも日本という文化からの視点で考えたときに、福音理解の前提として「創造主である神」についての基本的な理解を共有する学びが大切だと思います。C-BTEパラダイムを真に理解し、共有できた指導者たちによって日本版「聖書の基本原則シリーズ」が編集されることを願っています。

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