2017年9月9日土曜日

「委任」という考え方

C-BTEの五つの基本概念、
 1.「C-BTE」:「教会主体の神学教育」(承前)
 2.「委任」という考え方

「委任」という考え方: 「委任」という考え方はパウロの取り組みから引き出された概念です。使徒の働き13章以降に記されているパウロの伝道旅行を見ていくと、まず拠点都市での伝道が始まり、教会設立、そして救われた人たちの忠実な方に群れの責任を「委任」し、そして次の町、拠点都市へと移動、という一つの循環過程を確認できます。「また、彼らのために教会ごとに長老たちを選び、断食をして祈って後、彼らをその信じていた主にゆだねた」(使 14:23)。

さらに使徒20:17-38を見ますと、これらの委任は地区教会ごとの長老たちにあったことが分かります。注目すべき点はパウロは3年間で神の全ての計画を彼らにゆだねたことです。ただし、委任について留意すべきことは委任しておしまい、ということではなかったことです。その後、折に触れ、書簡を送ったり、自分に代わる同労者を送ったり、時には自ら再訪問し教え、訓戒し、励まし続けたことです。

中でもテモテやテトスの事例は後々の教会への一つの範例として注目させられます。そのテモテに見られる成長過程は今日の私たちに示す次世代育成の理想的範例です。そのことをしっかり心に据えて、現実的に、かつ段階的、発展的に委任の原則を実行していきたいものです。

パウロの第二次伝道旅行の際にルステラに行ったとき青年テモテを見出し、宣教チームの一員に迎え入れ、訓練され、成長し委任されていきました。その前後の経過、テモテの成長記録に注目し、その時間的経過たどることができます。

神のみことばの権威による基礎
「 私はあなたの純粋な信仰を思い起こしています。そのような信仰は、最初あなたの祖母ロイスと、あなたの母ユニケのうちに宿ったものですが、それがあなたのうちにも宿っていることを、私は確信しています」(Ⅱテモテ1:5)。
「また、幼いころから聖書に親しんで来たことを知っているからです。聖書はあなたに知恵を与えてキリスト・イエスに対する信仰による救いを受けさせることができるのです」(3:15)。
「それからパウロはデルベに、次いでルステラに行った。そこにテモテという弟子がいた。信者であるユダヤ婦人の子で、ギリシヤ人を父としていたが、ルステラとイコニオムとの兄弟たちの間で評判の良い人であった」( 使徒16:1-2)。

内面性の成長
「ルステラとイコニオムとの兄弟たちの間で評判の良い人であった」(使徒16:2)。
「ですから、監督はこういう人でなければなりません。すなわち、非難されるところがなく、--- また、教会外の人々にも評判の良い人でなければいけません。そしりを受け、悪魔のわなに陥らないためです」(Ⅰテモテ 3:2,7)。

伝道・牧会の成熟
「テモテのように私と同じ心になって、真実にあなたがたのことを心配している者は、ほかにだれもいないからです。だれもみな自分自身のことを求めるだけで、キリスト・イエスのことを求めてはいません。しかし、テモテのりっぱな働きぶりは、あなたがたの知っているところです。子が父に仕えるようにして、彼は私といっしょに福音に奉仕して来ました。」(ピリピ2:20-22)。
「キリストの福音において神の同労者であるテモテ」(Ⅰテサロニケ3:1-5)
「キリスト・イエスにある信仰と愛をもって、私から聞いた健全なことばを手本にしなさい」(Ⅱテモテ1:13,2:2)。

生き方の成熟
「あなたのうちに与えられた神の賜物を、再び燃え立たせてください。神が私たちに与えてくださったものは、おくびょうの霊ではなく、力と愛と慎みとの霊です」(Ⅱテモテ1:6-7)。       
「あなたは、若い時の情欲を避け、きよい心で主を呼び求める人たちとともに、義と信仰と愛と平和を追い求めなさい」(Ⅱテモテ2:22)。
「あなたは、どのような場合にも慎み、困難に耐え、伝道者として働き、自分の務めを十分に果たしなさい」(Ⅱテモテ4:5)。

集大成〉:パウロのモデル
「私は今や注ぎの供え物となります。私が世を去る時はすでに来ました。私は勇敢に戦い、走るべき道のりを走り終え、信仰を守り通しました。今からは、義の栄冠が私のために用意されているだけです。かの日には、正しい審判者である主が、それを私に授けてくださるのです。私だけでなく、主の現れを慕っている者には、だれにでも授けてくださるのです」(Ⅱテモテ4:6-8)。

テモテはパウロと行動を共にしながら、時にはパウロに代わっての宣教の業に取り組みました。牧会書簡と言われるテモテへの手紙Ⅰ、Ⅱの中にパウロの次世代の働き人して建て上げられていく様子が読みとれます。そしてパウロが次世代の働き人テモテにパウロがしたようにテモテに対して「多くの証人の前で私から聞いたことを、他の人にも教える力のある忠実な人たちにゆだねなさい」(Ⅱテモテ2:2)と受けたものを次世代に委ねる、委任の原則を示しています。

テモテに見られる成長過程における時間軸
1.節目ごとの出来事
2.メンターたちによる指導
3.伝道・牧会の経験(真実な人間関係を築く)
4.家族建て上げ
5.将来の目標を描く
6.伝道・牧会活動への意欲
7.達成

推薦
①人格の確かさ
②賜物と実の証明
③教える能力
④忠実さ

委任
①信仰の保持
②言葉の論争を避ける
③委任の確かな働き人
④明らかな成長
⑤純粋な良心

C-BTE:教会主体の神学教育・指導者育成の根拠となる聖書のパラダイム、その聖書の範例として考えていただき、今日の私たちの諸教会においてどのように適用できるのかを共に考え、知恵を出し合えればと思います。

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