2017年9月14日木曜日

「ハビタス」としての神学(2)

C-BTEの五つの基本概念、
 1.「C-BTE」:「教会主体の神学教育」(承前)
 2.「委任」という考え方(承前)
 3.「建て上げ」という考え方(承前)
 4.「ハビタス」としての神学(承前)
 5.聖書の「基本原則」

最後の二つの概念、「ハビタス」と「基本原則」はC-BTEパラダイムの考え方の中で「なぜ、神学教育か」を中心に考えさせられる基本概念です。

基本概念4.「ハビタス」としての神学という考え方(2)

「ハビタス」の基本概念を考えたとき、「神学をする」、すなわち聖書が何を言っているかを読み取ることです。その上で、「ハビタス」を定義すれば、ハビタスとは年齢や職業に関係なくすべての男女に必要な生涯の知恵を追求する魂の方向性、と言えます。

ハビタスの手法
段階1: 聖書の基本原則を理解し、その基本原則を念頭に置き、聖書的に考える能力を発展させる。
神学的識別力を発達させ、聖書の「基本原則」を理解し、聖書的に考える力を育成する。
基本原則シリーズⅠ:「神の家族」、シリーズⅡ:「家族」、シリーズⅢ:「神の救いのご計画」を解釈する原則

段階2: 生涯にわたる知恵の追求「ハビタス」の土台を発展させる。
信仰に成熟する為の一つが知恵に裏打ちされた人生の方向性に発展していくことである。
参照: 箴言2:1~9, 詩篇90:10~17

段階3:  生涯に渡る聖書理解を追い求める。
私たちが求める神学は奥義としての「教会」主体でなければならない。神の家族・信仰の共同体全体が「神の救いのご計画」のうちに成長し、日々の生活に、その真理を適用していく必要がある。基本原則を念頭に福音書を読み、イエス・キリストの教えの意図を理解し、その上で旧約聖書を読み、さらに理解を深める。

ライフワークを確立する生涯学習: ハビタスの手法を理解し、クリスチャンとしてのライフワークを確立する生涯学習を実現していきたいものです。なぜか、今日の多くの教会では本格的で、秩序立てられた教育体系が欠如しているように思います。ユダヤ人のような生涯教育体系、バルミツバー、タルムードのような問答等々、このような教育体系を保持した最後のグループはピューリタンと呼ばれる人たちと言われています。

「聖徒の建て上げ」は説教のみにあらず: 今日のプロテスタント教会の多くは日曜日礼拝を中心とした集まりになっています。しかも、プログラムの大半を占めるのが牧師の説教です。教会によっては一人の牧師が何十年にも渡って説教し続けています。説教自体を否定するものではありませんが、このままでの説教が個々人のクリスチャン建て上げにどれだけ貢献しているかです。もちろん多くの教会は週日に聖書の学び会や祈り会を持っています。しかし、出席者は教会全体のどれほどの割合でしょうか。後に改めて紹介しますが「学習者主体」の聖書の学びを再考すべきなのではないでしょうか。「学習者主体」の聖書の学びが着実に取り組まれることによって、牧師の説教が聖徒たち揺るぎない信仰建て上げになお一層、貢献できるものと期待します。

16世紀宗教改革によって、中世カトリシズムのパラダイムを大転換したプロテスタント諸教会が生まれました。何百年もの間、一般のクリスチャンは聖書の学びはなく、サクラメント(典礼)中心の信仰生活が続いていました。前後しますが、チューリッヒで改革を進めたツヴィングリはそこ集まる会衆に聖書の講解説教を行い始め、会衆は大きな感動を持ってみことばの解き明かしに耳を傾けたと記されています。一方、先人を切った宗教改革者マルチン・ルターは各地の教会を巡回する中で会衆はもちろんこと、牧師たちも聖書の基本的な教えを理解する必要を覚えて「小教理問答」、「大教理問答」を作成し始めたと言われています。言うなら聖書の基本原則、基本教理を対話・問答によって理解し、その基本を心におさめ、念頭に置くことで講解説教はより理解できるようになると考えられます。そして「小教理問答」は各家庭の父親が子供たちと行うように勧められました。「教理問答」はプロテスタント諸教派にも同様に広まりました。つまり「聖徒の建て上げ」は説教のみにあらずを理解すべきです。しかし、いつしか説教中心のみの教会が多くなってしまったのがプロテスタントの現実です。

では、具体的にすべての人のための神学的教育はどこから始まるのでしょうか。聖書の「基本原則」からです。先に記した神学的意図から執筆されたのがBILDインターナショナルから出版された基本原則シリーズⅠ~Ⅲです。翻訳の制約を超えて私たちの教会建て上げを再考させてくれるリソースであると思います。的確にC-BTEのパラダイムを理解し、また、なぜC-BTEなのか、問題意識を共有して、その上でこの国の文化の中で神学し、この国のクリスチャンたちのためにリソースを出版できるのが理想です。私たちもそのように実現するよう進められています。その前に大事なのは問題意識、共有できる神学的パラダムの理解です。

「ハビタスの手法」に基づくC-BTE 基本原則シリーズ 14冊
Ⅰ. 信仰の基礎:「神の家族」
Ⅱ. 実りあるライフワーク:「家族」
Ⅲ. 聖書の正しい学び方:「聖書神学」の原則

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